2010年5月6日木曜日

『失踪』(ティム・オブライエン) を読んで思ったこと

サボテン
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 ティム・オブライエンの『失踪』を読んだので感想を。ティム・オブライエンはアメリカの作家。ベトナム戦争に歩兵として従事しており、ベトナム戦争そのものを扱った著作以外でも間接にその影響が色濃く表れている。「カチアートを追跡して」でジョン・アーヴィングの「ガープの世界」を押さえて全米図書賞を受賞。

 『失踪』は、損なわれた人々が、何かを封印しようとして報われなかった物語。封印できないことを知りつつも封印にできるふりをして生活を続けるが、やがて破綻する主人公。過去の戦争のリアルな記憶の描写と、家族についての曖昧な記憶の描写。その表現が素晴らしい。
 

失踪

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