2011年6月30日木曜日

『ショーシャンクの空に』について思い出したこと

待ちぼうけ
待ちぼうけ posted by (C)nonkuri NEX-5 + 135mm F2.8 [T4.5] STF SAL135F28


 図書館に子供の絵本を借りに行ったら、予約待ちランキングに『ショーシャンクの空に』がランクインしていた。公開から随分経つのに、未だ人気は高いようだ。

 人によっていろいろ意見はあるだろうけれど、個人的には、『ショーシャンクの空に』の原作『刑務所のリタ・ヘイワース』("Rita Hayworth and Shawshank Redemption")は、希望についての物語ではなく、意志についての物語である、と思っている。
 主人公のアンディは、自ら考え、強力な意志で決めたことを貫き通した。極めてリアリスティックに状況を把握し、可能性を検討し、めげることなくやるべきことをやり通すことにより、ああいう結果を得ることができた。希望はたしかにあったが、それは夢想的な希望ではなく、現実を踏まえての希望だ。

 そうした意味で、映画で付け加えられた、主人公のアンディが刑務所中にモーツァルトのアリアを響き渡らせるシーンは、アンディの性格を原作とは決定的に変えてしまった。原作のアンディはあんな余計なことをして独房に入れられるような中途半端な意志の持ち主ではない。そんな阿呆なことは決してしないキャラクターだ。

 あのシーンのおかげでアンディの性格付けが曖昧なものになってしまったし、物語の力も弱まった。ダラボン監督の演出を評価する人も多いけれど、まったくもって余計なことを付け加えてくれたと、わたしは思っている。それ以外は良かったのだけどね。
 
 

2 件のコメント:

shin さんのコメント...

原作はそういう話だったんですね。
僕はあのモーツァルトのアリアのシーンが一番印象に残っていたので驚きました。

のんくり さんのコメント...

映画は基本的に原作に忠実ですが、主人公の性格設定はちょっと違うように思います。
ところで、この映画の原作を含む中編4本が収録されている『恐怖の四季』(原題は"Different Seasons"、日本では新潮文庫で『ゴールデンボーイ』と『スタンド・バイ・ミー』の2分冊で出ています)はとてもいいですよ。
4本中3本が映画化されていますが(『ゴールデンボーイ』、『スタンド・バイ・ミー』、『刑務所のリタ・平ヘイワース』)、さもありなんと思います。映画化されていな1本(『マンハッタンの奇譚クラブ』もとても好きな作品です。