前回(Gemini と ChatGPT に最新ニュースを訊いてみたところ、モデルによって信頼性がまったく異なることがわかった話 )に引き続き、ChatGPT と Gemini のどちらに課金するかのための実験、その2です。
■実験内容の解説
今回は「日本語の解釈」ということで、ジョークの理解力について実験してみます。
プロンプトは次のように構成してみました。
次のジョークを読んで、後の質問に答えてください。
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「お母さん、アメリカって遠いの?」
「いいから黙って泳ぎなさい」
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◯質問1
登場人物は何人ですか?
◯質問2
登場人物は、今、どんな状況ですか?
◯質問3
このジョークの面白さについて解説してください。
◯質問4
このジョークを聞いて、あなたらどんなツッコミを入れますか?
今回のテストの主眼は質問3です。
このジョークの面白さは、私の考えですと、
- 「お母さん、アメリカって遠いの?」という問いかけにより、ジョークの聞き手は、「幼児あるいは小学校低学年ぐらいの子どもが、素朴にどれぐらい遠いのか聞いている」という一般的な状況を想像する。
- 「いいから黙って泳ぎなさい」で、日本からアメリカに向かって親子で必死に海を泳いでいる姿を想像し、1. とのギャップで笑いが起きる。
という構造なのですが、当然のことながら、最低でも次のような前提となる常識がないと面白さがわかりません。
- 登場人物は2人だが、ジョークとしては聞き手の存在が前提となる。
- 日本語の会話なので、この親子は日本人と思われる。
- 日本とアメリカは海を隔てて遠く離れている。
いきなり質問3だと難しすぎるような気もしたので、質問1、質問2は正解への誘導のつもりで入れてみました。また、上記の前提常識のうち、後ろ2つを持っているかどうかの判断の目安にもなるかと思います。
自分が答えるとしたら、こんな感じです。
◯質問1
2人。
◯質問2
親子でアメリカに向かって日本から海を泳いで渡っている。
◯質問3
「お母さん、アメリカって遠いの?」で、ジョークの聞き手は、「幼児あるいは小学校低学年ぐらいの子どもが、アメリカという国の存在を知って、素朴にどれぐらい遠いのか聞いている」という一般的な状況を、想像する。
次に、「いいから黙って泳ぎなさい」で、聞き手は日本からアメリカに向かって親子で必死に海を泳いでいる姿を想像し、前の想像とのギャップで笑いが起きる。
◯質問4
太平洋横断水泳中かい!
果たして、AIはどのような回答をするでしょうか。
なお、回答について強調表示されている部分は、各AIの回答の強調表示そのままです。
また、ChatGPTについては各モデルとも一時チャット機能を使って質問しています(Geminiにはそのような機能はなさそうです)。
■ChatGPTの回答
□GPT 4o
ありがとうございます!では、ジョークを踏まえて、順番に質問にお答えします。
◯質問1:登場人物は何人ですか?
→ 2人です。「お母さん」と「子ども(話し手)」の2人です。
◯質問2:登場人物は、今、どんな状況ですか?
→ おそらく海を泳いでアメリカを目指している最中です。普通なら飛行機や船で行く距離なのに、「泳いで行こうとしている」ことが前提になっている非日常的な状況です。
◯質問3:このジョークの面白さについて解説してください。
→ 面白さのポイントはズレた常識と会話のギャップです。
普通、「アメリカは遠いのか」と聞かれたら、地理的な距離について説明するはずです。しかしこのお母さんは、「泳いでアメリカに向かっている」という非常識な前提を当たり前のように受け入れていて、それに対して子どもが「遠いのか?」と疑問を持っている構図になっています。
つまり、
- 子どもは素朴な疑問(遠くない?)を持ち
- お母さんは「泳ぎきる前提」で強引に黙らせてくる
この非現実的な前提と現実的な反応のミスマッチが笑いのツボになっています。
◯質問4:このジョークを聞いて、あなたならどんなツッコミを入れますか?
→ 「いや、そもそも泳いで行くな!!」
あるいは、
「黙る前にまず止めて!?命がけやで!」
このように、現実ではありえない状況を真顔でやってるところが、シュールで笑えるポイントです。
□o4-mini
◯質問1
登場人物は2人です。
子ども(おそらく小学生くらい)
母親
◯質問2
海やプールなど水中で泳いでいる最中のやり取りです。
子どもが泳ぎながら「アメリカって遠いの?」と尋ね、母親が「いいから黙って泳ぎなさい」と返答しています。つまり、実際に泳いでいる最中に「もし本気でアメリカを目指すなら、そのまま泳ぎ続けろ」というニュアンスで応じています。
◯質問3
このジョークの面白さ(オチ)のポイントは、子どもの純粋な疑問と母親の切り返しのギャップにあります。
子どもの無邪気さ
「アメリカって遠いの?」という問いは、まだ地理感覚や現実的な距離感を把握していない子どもならではの発言です。泳いでいる最中に、ふと思いついたような疑問であり、地理的に海を越える距離をまったく考慮していません。
母親のぶっきらぼうな返し
一般的に「遠いかどうか」を聞かれたら、「○キロくらい離れている」「船や飛行機で行くしかない」などの常識的な答えをしますが、ここでは「黙って泳ぎなさい」と即座に命令しています。
文字どおりに「アメリカまで泳いで行く」前提で話を進めてしまう極端さがシュールで笑いを誘います。
ギャップと過剰解釈のユーモア
子どもの問いに対して「本気で泳いでアメリカに行こうとしているの?」といった大袈裟な解釈――それ自体が突飛でコミカルです。
「遠い?」=「じゃあ泳げばいいじゃん」という飛躍した展開が、現実感を一切無視する形で成立しており、そのズレが面白さの核心です。
◯質問4
このジョークを聞いて私が入れるとしたら、例えば以下のようなツッコミになるでしょう。
「泳いで行けるわけないでしょ!」
「うっかりアメリカまで行ったらどうするの?」
「そんなに海が得意じゃないよね?」
どれも、母親の言葉に対してツッコミを入れる形で「現実的に無理だよ」というフォローを入れるビタッとくるツッコミです。
□o4-mini-high
◯質問1
登場人物は2人です。
- 子ども(「お母さん、アメリカって遠いの?」と尋ねる人)
- 母親(「いいから黙って泳ぎなさい」と返す人)
◯質問2
二人は“泳いでいる”状況にあります。
- 子どもはプールか海(あるいは水辺)で泳いでいて、「アメリカは遠いの?」と距離を尋ねています。
- 母親は、子どもが泳いでいる最中に「黙って泳ぎなさい」と指示しているため、二人とも水の中または水際にいると想像できます。
◯質問3
このジョークの面白さは、子どもの「アメリカって遠いの?」という質問を、母親が文字どおり「(アメリカまで)泳ぐ」という意味で受け取ってしまっている点にあります。具体的には:
- 問いの意図と返答のミスマッチ
- 子どもの質問は地理的な距離感を知りたかっただけ(たとえば「アメリカはどれくらい距離があるの?」という単なる好奇心)だと考えられます。
- しかし母親は「子どもが本気でアメリカまで泳ごうとしている」と解釈し、「口を挟む暇があったら泳ぎ続けてアメリカまでたどり着け!」という極端な返しをします。
- この解釈のズレが、聞き手に「えっ?」という驚きと笑いを与えます。
- 過剰なリアリティの想像
- 実際にはアメリカと日本(あるいは子どもの現在地)が海を挟んで何千キロも離れているのに、母親はその距離を「泳いでいける距離」として扱います。
- 「泳いだとしても到底たどり着けないのに」という不条理さ・誇張が強調されていて、そのシュールさがユーモアにつながっています。
- 理不尽なツッコミ調の口調
- 母親の「いいから黙って泳ぎなさい」という言い方が、いかにも親が叱るときの強い口調になっており、思わず「そんなの無理だろ!」とツッコミたくなるテンポ感があります。
- 特に「いいから黙って…」という導入フレーズは、ツッコミの前振りとしておなじみのパターンなので、それ自体がコミカルに響きます。
以上のように、子どもの無邪気な疑問と、母親の極端すぎる返しの落差(ギャップ)によって生まれるシュールさや理不尽さが、このジョークの面白さです。
◯質問4
私(ツッコミ役)がこのジョークを聞いて入れるとしたら、例えば次のようなリアクションをします:
「アメリカまで泳いでいく気かい!無理だから!まずは浮き輪買ってこいよ!」
あるいはもう少しストレートに突っ込むなら、
「お母さん、泳いでも日本しか移動できないから!大西洋はまだまだ先だぞ!」
と返す感じです。どちらも「泳いでアメリカ」は現実的にありえないという前提で、母親のツッコミをさらに誇張して面白がるパターンです。
□GPT-4.1
はい、読ませていただきました。順番にお答えします。
◯質問1
登場人物は何人ですか?
2人です。「子ども」と「お母さん」が会話しています。
◯質問2
登場人物は、今、どんな状況ですか?
「子ども」と「お母さん」は海(あるいは川)を泳いで渡っている状況です。アメリカが遠いのかどうかを聞いていることから、何らかの事情でアメリカまで泳いで行こうとしている(あるいは行かされている)と考えられます。
◯質問3
このジョークの面白さについて解説してください。
このジョークの面白さは、状況の突飛さと親子のやりとりのズレにあります。
普通「アメリカって遠いの?」という質問は地理的な話や、旅行の距離感として出てきますが、「黙って泳ぎなさい」とお母さんが返すことで、「アメリカまで泳がせている」異常な状況が明らかになり、そこにギャップ(ズレ)やシュールな笑いが生まれています。
また、「黙って泳ぎなさい」というお母さんの現実的すぎる返しも、ブラックジョークとしての面白さにつながっています。
◯質問4
このジョークを聞いて、あなたならどんなツッコミを入れますか?
例:「いや、何があったんだよ!」「どうして泳いでアメリカ行ってるの!?」「パスポート持ってる!?」
あるいは、「まずはビザの心配しなさい!」みたいな、現実的なツッコミもできますね。
他にも「これぞスパルタ教育…!」みたいなツッコミもできそうです。
□GPT-4.1-mini
ジョークを読みました。以下、それぞれの質問に答えます。
◯質問1
登場人物は何人ですか?
2人です。
- 「お母さん」
- その子ども(質問者)
◯質問2
登場人物は、今、どんな状況ですか?
子どもが泳いでいる(あるいは泳ごうとしている)状況です。
子どもが「アメリカって遠いの?」と聞くのに対し、母親は「黙って泳ぎなさい」と答えていることから、水の中か、あるいは水泳の場面が想定されます。
つまり、子どもがアメリカに行きたい(泳いで行けるかどうかを)質問していて、母親は「黙って泳げ」と促している状況です。
◯質問3
このジョークの面白さについて解説してください。
このジョークの面白さは、「アメリカが遠い」という問いに対し、非常識とも言えるリアルな返答が返ってくる点にあります。
- 子どもは純粋に「アメリカは遠いの?」と地理的な距離について聞いているだけなのに、母親は「泳げば行ける」という想定で返している。
- 「いいから黙って泳ぎなさい」という強引な返答が、子どもの質問の趣旨を無視していることが滑稽です。
- また「黙って泳ぎなさい」という命令口調がシュールで、意外性が笑いを誘います。
このギャップとズレがジョークの面白さの源です。
◯質問4
このジョークを聞いて、あなたならどんなツッコミを入れますか?
たとえばこんなツッコミが考えられます。
- 「いや、泳いでアメリカ行けるわけないだろ!」
- 「そもそも海を泳いで渡るって現実的じゃないよ!」
- 「聞きたいのは距離の話であって、泳ぎ方の指示じゃない!」
- 「なんで急に命令口調なの!?状況がわかってないでしょ!」
こんな感じで、母親の答えのズレと強引さを指摘するツッコミが自然ですね。
何か追加で知りたいことがあれば教えてください!
□GPT-4.5
◯ 質問1
登場人物は2人です(子供とお母さん)。
◯ 質問2
登場人物は現在、海や川を泳いでアメリカに向かっている、というあり得ない状況にいます。
◯ 質問3
このジョークの面白さは、子供の純粋な質問に対して母親が「泳いで行ける距離」として答えているところにあります。本来アメリカまで泳いでいくことは不可能ですが、母親があたかも可能であるかのように、しかも泳いでいる真っ最中であるように返答することに突拍子もないギャップがあり、ユーモアが生まれます。
◯ 質問4
「いやいや、泳いで行ける距離ちゃうやろ!」または「お母さんスパルタすぎやろ!」といったツッコミを入れたくなります。
□o3
◯質問1
2人です。子どもとお母さん。
◯質問2
2人は海(またはプール)で泳いでいる最中。子どもは「アメリカって遠い?」と純粋に距離を尋ねただけなのに、お母さんは“泳いで行く前提”で「いいから黙って泳ぎなさい」と返している――つまり、まるで太平洋横断遠泳の真っ最中みたいな状況にされています。
◯質問3 〈どこが面白い?〉
- 質問と回答のズレ
- 子どもは地理的な「距離」を聞いただけ。
- お母さんは「実際に泳いで渡る気なら遠いから黙って泳げ」というノリで答える。
→ 質問の意図と答えがズレるギャップが笑いどころ。
- スケールの誇張
- 親子の日常会話が、いきなり太平洋横断というスケールに拡大。
- 「泳いでアメリカへ」は現実離れしているからこそ可笑しい。
- ツッコミ不在のボケっぱなし
- ボケ(お母さん)だけで完結し、ツッコミがいないことで不条理感が際立つ。
◯質問4 〈私ならこうツッコむ!〉
「いや待てや! オリンピック代表でも無理やって! まずパスポート取ろ?」
――こんな感じで“無理ゲー”ぶりに突っ込みますね。
■Gemini
□Gemini 2.5 Flash
おもしろいジョークですね!質問にお答えします。
◯質問1
登場人物は2人です。お母さんと子どもです。
◯質問2
登場人物は、海か大きな川で泳いでいる状況だと考えられます。子どもが「アメリカは遠い?」と尋ねていることから、彼らがアメリカに向かって泳いでいる(あるいは、少なくともそのように感じている)ことがうかがえます。
◯質問3
このジョークの面白さは、読者の予想を裏切る点にあります。通常、「アメリカは遠い?」と聞かれたら、地図や飛行機での移動などを想像しますが、母親の「いいから黙って泳ぎなさい」という返答によって、まさかの「泳いで移動中」という状況が明らかになります。このシュールな状況設定と、それに対する母親の冷静な(しかし突拍子もない)対応のギャップが笑いを誘います。
◯質問4
私なら、こんなツッコミを入れます!
- 「え、泳いで行くんですか!?無謀すぎる!」
- 「お母さん、それ、泳いでたどり着く距離じゃないですよ!」
- 「せめて船に乗りましょうよ!」
□Gemini 2.5 Pro(preview)
はい、承知いたしました。このジョークについて解説します。
「お母さん、アメリカって遠いの?」
「いいから黙って泳ぎなさい」
◯質問1
登場人物は何人ですか?
登場人物は2人です。「お母さん」と呼びかけている子供と、それに答える「お母さん」です。
◯質問2
登場人物は、今、どんな状況ですか?
子供の「アメリカって遠いの?」という質問と、母親の「いいから黙って泳ぎなさい」という返答から、二人は泳いでアメリカ大陸を目指しているという、非常に困難で現実離れした状況にいると考えられます。おそらく、海や非常に大きな湖などを泳いでいるのでしょう。
◯質問3
このジョークの面白さについて解説してください。
このジョークの面白さは、以下のいくつかの要素から成り立っています。
- 状況設定の奇抜さ: そもそも「泳いでアメリカへ行く」という発想自体が非現実的で突拍子もありません。このありえない状況がまず笑いを誘います。
- 子供の無邪気さと母親の過酷な返答のギャップ: 子供は「アメリカは遠いのか」という、子供らしい素朴な疑問を口にしています。それに対し、母親は子供の疑問に直接答えず、「いいから黙って泳ぎなさい」と、まるでそれが当然の行為であるかのように、冷静かつ厳しく言い放ちます。この母親の返答が、状況の異常さを際立たせ、シュールな笑いを生み出しています。
- 会話のズレと省略された情報への想像力: 通常、このような会話が成立する背景(なぜ泳いでいるのか、他の手段はなかったのか等)は一切語られません。聞き手はその省略された部分を想像し、そのありえなさに気づくことで面白さが増します。母親の返答は、その過酷な状況を端的に表しており、聞く者に「一体どんな状況なんだ!?」と想像させ、笑いを誘うのです。
- ブラックユーモアの要素: 状況の過酷さや不条理さを笑いに転換している点に、ブラックユーモアの要素も含まれています。
これらの要素が複合的に作用し、このジョークの独特な面白さを生み出しています。
◯質問4
このジョークを聞いて、あなたらどんなツッコミを入れますか?
私(AI)がツッコミを入れるとしたら、以下のようなものが考えられます。
- 「いや、まずパスポートと飛行機のチケットの心配からした方がいいんじゃないかな!?」
- 「お母さん、その体力測定、何のオリンピック目指してるんですか!?」
- 「せめて、いかだくらい用意してあげて!」
- 「アメリカに着く前に、まず間違いなくサメの餌食だよ!」
- 「もしかして、ハワイくらいで手を打つつもり…なわけないか。」
- 「そのスパルタ教育、方向性が斜め上すぎる!」
状況の非現実性や母親の返答の厳しさ、子供の将来などを心配するようなツッコミになるかと思います。
■まとめ
今回の実験に関しては Gemini 2.5 Flash が優秀でした。質問3に関しては、全モデルの中で唯一の正解です。ただ、質問2に関しては、川が出てくるのは減点要素か。
Gemini 2.5 Proの方も、聞き手の存在が意識されており(面白さの解釈はちょっと違うと思いますが)、Gemini は言外の状況への理解が進んでいるような気がします。一つの実験だけで言うには大袈裟ですが。
もっと凄い本格的な実験を期待していた方には申し訳ありませんが、AI素人のお遊び、ということで温かい目で見守っていただければ。
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