2010年5月26日水曜日

『カチアートを追跡して』(ティム・オブライエン著) を読んで思ったこと

待つ人
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 ティム・オブライエンの『カチアートを追跡して』を読んだので感想を。

 本書はジョン・アーヴィングの「ガープの世界」を押さえて全米図書賞を受賞した名作。村上春樹氏は柴田元幸氏との共著『翻訳夜話』で、80年代のアメリカでいちばん力を持った作家として、ティム・オブライエンとジョン・アーヴィングとレイモンド・カーヴァーの3人の名を上げているが、本書を読むとその力の一端がわかる。
 アーヴィングやカーヴァーと違って、決して取っつきやすい文章ではない。読み進めるのに穴を掘るような力がいる。読み始めはリアリスティックな小説かと思ったのだが、読み進めるうちに幻想性が顔を出す。多くの場面が階層的に積み重なってひとつの世界を作り上げている。

 それにしても、なんで新潮文庫では絶版になっているのでしょうね。さっぱり理解できません。
 

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