DaVinci Resolve で LUT の使い方について自分なりに調べたことについて、つらつら書いておきます。
1.LUTとは
LUT(Lookup Table:ルックアップテーブル)は、画像の色(RGB)および輝度を別の値に変換するための参照表です。カラ―グレーディングや色補正において、ある入力値に対して対応する出力値を置き換える仕組みを提供するものです。
よく使われているのは 3D LUT というもので、RGB成分を同時に扱い、色相や彩度、色のバランスを包括的に変換します。
簡単に言うと、(R, G, B) について、(128, 128, 128) → (125, 135, 120) というような対応が大量に記載された表になります。
要は対応表なので、例えばRGBを各256段階のLUTを作ろうと思うと、256 × 256 × 256 = 16,777,216個の色の組み合わせの対応表が必要になります。
よく使われる 3D LUTはRGB各33段階のもので、対応表の中間にあたる部分は計算式で補間することになります。この補間式はソフトウェアによって異なるので、同じLUTを使ってもソフトウェアによって微妙に色が異なります。
2. 使い方のポイント
(1) LUT は ノードツリーの最後の方で適用する
ルックを作るための LUT を使う場合、ノードツリーの最後の方で適用した方が良いといわれています。大抵の場合、こうしたクリエイティブLUT はノーマライズされた画像に対して適用することが想定されていますし、複数のクリップに適用してルックを統一したい場合、ノードツリーの前半部分で統一した方向性を作っておかないとLUT適用後も統一されたルックになりづらいです。
また、LUT をノードツリーの初期段階で適用してしまうと、その後の調整が LUT の影響を大きく受け、意図しない色変化やクリッピング(白飛びや黒つぶれ)が発生しやすくなる可能性もあります。LUT を最後の方に置くことで、それ以前のノードで色やトーンの細かな調整を自由に行うことができます。
実際にグレーディングする際には、ノードツリーの最後の方に LUT を適用したノードを入れておいて、前の方のノードで調整をするようにします。LUT での変換後の画像を見ながら前で調整できるのがノードベースのいいところですね。私の場合、LUT 適用後は色の微調整と、シャープネスやビネット、フィルムグレイン、グロー、ハレーションなどのエフェクトを入れるぐらいにとどめています(グローやハレーションは通常LUT適用後に挿入する方が管理しやすいですが、あえてLUT適用前に挿入するとクリエイティブな効果が得られる場合もあります)。
自分の場合、LUT を使う場合の基本的なノードの流れとしては、以下のような順序にしています(ノードの流れの順序であって調整する順序ではないです)。
- プライマリーコレクション(Primary Correction)
- ホワイトバランス調整
- 露出補正・コントラスト調整
- 彩度調整
- セカンダリーコレクション(Secondary Correction)
- 部分的な色被りの調整
- 部位の調整(スキントーン・空など)
- グロー・ハレーション:
- 通常は LUT の後に入れるが、LUTによってさらにいい感じに変化する場合もある
- LUT適用ノード:
- クリエイティブLUTの適用
- 最終調整ノード:
- LUT 適用後の微調整(全体的・部分的な微調整など)
- ビネット、フィルムグレイン、シャープネス、ブラー、グロー、ハレーションなどのエフェクト追加
なお、カメラメーカーが自社カメラ用にカラースペース変換用のLOG(S-Gamut3 / S-Log3 → Rec.709 / Gamma 2.4 とか)を出していますが、DaVinci Resolve でグレーディングする場合、RCM や CSTを使えばいいので、カラースペース変換に LUT を使う必要はありません。といいますか、LUTを使ったカラースペース変換はデータの丸め誤差や階調飛びが発生しやすく階調表現が劣化する可能性が高いため、使わないほうがいいと思っています。DaVinci Resolve が対応していないものは LUT を使う場合もありますが(規格が公開されていない D-Log M とか)。
(2)Input と Output の カラースペース(Gamut と Gamma)
DaVinci Resolve に限った話ではないですが、LUT を適用する際には、その LUT が想定している入力と出力のカラースペース(Gamut と Gamma)を確認しておく必要があります。
例えば、 S-Gamut3 / S-Log3 への適用を想定している LUT を Rec.709 / Gamma 2.4 の素材に適用すると LUT の制作者が想定していない画像になるわけです。
そのため、基本的には、LUT を適用する際には、Color Space Transfer(CST)を適用したノードを入れて、その LUT が想定しているカラースペースと合わせる必要があります(意図的に合わせない使い道もあるかとは思いますが)。
具体的なノードの組み立ては後ほど。
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