2025年5月5日月曜日

DaVinci Resolve 19の「Film Look Creator」のパラメーターの簡単説明

DaVinci Resolve 19 から「Film Look Creator」が搭載されました。
今まで個別のエフェクトで調整していたものをまとめて調整できる感じのエフェクトで、プリセットを選ぶだけで良い雰囲気になるのですが、それぞれ個別のパラメーターの意味もわかっておいた方がいいので、少しだけ調べてみました。

Main Controls

  • Presets: あらかじめ用意されたフィルムルックのプリセットを選択して適用。なお、選択肢のうち Default No Effects は Film Look と Color Settings のみを適用し Halation や Grain などのその他の効果をすべてオフに、Clean Slate はすべてをオフないしは適用量0にする。
  • Color Blend: ベースの Film Lookと、下記 Color Settings や Split Tone で行ったカラー調整との混合度合いを制御。
  • Effects Blend: Halation、Bloom、Vignette などのエフェクト全体の強さを一括で調整。0%で効果オフ、100%でフル出力。
  • 3D LUT Compatible(3D LUT互換): チェックすると、3D LUTに含まれないエフェクトを無効化し、作成したルックを外部へLUTとして書き出しやすくする。

Color Space Overrides

タイムラインのカラー管理設定を手動で上書きするための項目。

  • Input Color Space / Input Gamma: Film Look Creator 適用前の入力色空間とガンマを手動指定。
  • Output Color Space / Output Gamma: 出力先の色空間とガンマを手動設定。
  • Output White Point: 表示用の白色点(例:D65など)を変更。

Film Look

色合いを作るためのもの。

Film Look Blend

Core Look での調整との混合度合いを制御。

Core Look
  • Cinematic
    デフォルトのフィルムルック。程よいコントラストと彩度で、汎用的かつバランスの取れた“シネマティック”な質感。
  • Rochester
    コダック本社があるニューヨーク州ロチェスターに由来すると思われる。コダックフィルムを思わせる豊かな色再現と深いコントラストで、パンチの効いた大胆なルック。
  • Akasaka
    富士フイルム本社がある東京・赤坂に由来すると思われる。柔らかく滑らかなトーンレンジと、落ち着いたパステル調のカラーパレットで、フジフィルムらしいナチュラルな色味を再現。
  • Elated
    明るく生き生きとしたトーンを強調するルック。温かみのある色合いと引き締まった彩度で、映像に躍動感と深みを与える。
  • Vintage
    経年劣化したフィルムのようなノスタルジックな質感を再現。彩度をやや抑え、コントラストはマイルドにフェードさせつつ、ほんのりと色あせたようなレトロ感を演出。
Skin Bias

肌色部分だけ Film Look の影響を減らし、オリジナルの色に近づけることができる。値を高くすると Film Look の影響が少なくなる。

Color Settings

3D LUT互換エリアとしても機能する、基本的な色調整パラメータ群。

  • Exposure(露出): ±5ストップの露出補正。
  • Contrast(コントラスト): Sカーブ全体の傾きを調整し、明暗差を増減。
  • Highlights(ハイライト): Sカーブ上部のロールオフ特性を制御し、ハイライト部の見え方を調整。
  • Fade(フェード): Sカーブ下部のロールオフを調整し、シャドウ部の階調を変化。
  • White Balance(ホワイトバランス): 色温度(ケルビン値)による色補正。
  • Tint(ティント): グリーン/マゼンタのバランスを調整し、蛍光灯など特殊光源下の補正に有効。
  • Subtractive Sat(減法彩度): 減法混色プロセスのように彩度を調整し、フィルムらしい色表現を再現。
  • Richness(リッチネス): すでに飽和した領域に対してのみ減法彩度を適用し、色の深みを強調または抑制。
  • Bleach Bypass(ブリーチバイパス): 彩度を抑えつつコントラストを高めた重厚なブリーチバイパス風ルックをシミュレート。

Split Tone

シャドウとハイライトに補色を加えるトーニング機能(3D LUT対応)。
• Enable Split Tone: on/off。
• Amount: スプリットトーン効果の強さ(適用度)
• Hue Angle: スプリットトーンのハイライト側に乗せる色の色相
• Pivot: シャドウとハイライトの境界(色の適用バランス位置)

Hue Angle が分かりづらいが、この値でハイライト側を指定するようだ。シャドウ側とハイライト側で、補色に近い関係になるように作られているため、Hue Angle を選ぶと、自然にシャドウ側とハイライト側がいい感じに割り振られる。いわゆる Teal and Orange にしたいときは 20°~25°ぐらいかな。

Vignette

周辺減光を再現する効果。

  • Enable Vignette: on/off。
  • Amount: 適用量の調整。
  • Size: ビネット効果が画面内に及ぶ範囲を変更。

Halation

ハイライト周辺のソフトグローを再現する効果。

  • Enable Halation: on/off。
  • Highlights Only: on/off。
  • Amount: 光のにじみ量を制御。
  • Radius: グローの広がりサイズ。
  • Saturation: 色鮮やかさ。
  • Hue: 光のにじみ部分の色味。

Bloom

非常に明るい部分にソフトな光のにじみを追加。

  • Enable Bloom: on/off。
  • Amount(強度): にじみの強さ。
  • Radius(半径): にじみの広がり具合。 

Grain

フィルムの粒状感をエミュレート。

  • Enable Grain: on/off。
  • Preset: 映画フィルム標準を想定した複数の粒子プロファイル。
  • Amount: 粒子の密度。
  • Size: 粒子の大きさ。
  • Softness: 粒子のエッジのシャープネス。
  • Saturation: 粒子自体に色を付ける度合い(0:モノクロ)。
  • Image Defocus: 解像度を擬似的に落とすブラー量。1.000で影響なし。

Flicker

映写機のちらつきを模倣し、映像に揺らぎを追加。

  • Enable Flicker: on/off。
  • Amount: ちらつきの振幅。
  • Rate: ちらつきの周期(Hzに近い感覚)。

Gate Weave

フィルムがゲートを通過する際の微細な揺れを再現。

  • Enable Gate Weave: on/off。
  • Amount: 揺れの大きさ。
  • Rate: 揺れのスピード。 

Film Gate

映写・テレシネ時のブランキング(画面外枠)を表現。

  • Enable Film Gate: on/off。
  • Preset: 各種映画アスペクト比を選択。
  • Ratio H/V: 独自の縦横比を数値指定。
  • Enable Curvature: フレーム角をわずかに丸め、本物のフィルムフレーム感を演出。
  • Padding: ブランキング領域の拡大/縮小。

Global Blend

全体の適用量。

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